お客様は「最も居心地の良い席を利用したい」という期待を持っています。その期待に沿うようにご案内することが大切です。自由に席を選べるのなら問題がありません。しかし、自由に席を選べたとしても「お好きな席へどうぞ」と言っているだけではお客様が困ってしまいます。初めて来店されたお客様は特にそう思ってしまうでしょう。このようにならないように、「こちらかこちらのお席はいかがでしょう。奥のお席は静かですよ」など言ってあげるなど、ある程度の目安を示してあげることが重要です。
また、心地よく座っていただくための工夫も大切です。たとえばカップルでの場合「静かな奥の個室へご案内いたします」など一言加えると印象が変わってきます。しかし、常にそういうわけにもいかないものです。なぜなら、ご予約という場合があるからです。そのような時は「こちらのお席へ」と言うのではなく「こちらのお席でよろしいですか」と聞くことがよいでしょう。
希望のお席があるお客様もいます。でも、お店側にとってはいかに効率よく、どのテーブルにご案内するかということも、あとのお客様にお待ちいただかないことの大切な仕事。実際には、すべてのお客様に希望のお席にご案内することは無理なことです。あとから来たお客様に、あとから来たからこの席で当然と思われてしまうのは、あまりよくない。そのときは「申し訳ありません。ただいまこちらのお席でしたらすぐにご案内できます」という一言をかけることでお客様は悪い気がしません。このような時には、お詫びの気持ちを十分にこめてお席にご案内することがとても大切です。
お客様は、それぞれの理由でお店を利用されます。仕事での接待や、カップルでの食事や、友達の誕生日祝いなど。それぞれの理由を察知してお席へご案内することがとても大切になってきます。お客様の気持ちになってお席へのご案内することもホスピタリティの一つなのです。