サービスとホスピタリティは同じなのか?について考えてみました。「サービス」という言葉は、ラテン語でServus(奴隷)です。それが英語のSlane(奴隷)Servant(召使い)という言葉から発展しました。サービスは言葉の通り、サービスを提供する方は「従」という意味で、主従関係がはっきりしています。一方、ホスピタリティの言語は、ラテン語の(客人等の保護)である。それが英語のHospital(病院)Hospice(ホスピス)と色々な言葉から発展しました。これら相手には対価を求めるのではなく、おもてなしや喜びを与えることを重視している点が大きくサービスとは異なり、ホスピタリティにおいて重要視されるのは、人間性や感性などで、対価を求めて動くのではなく、おもてなしや喜びを通じて、あとから対価はついてくるという考えにあります。ここがサービスとホスピタリティの違いだと言えます。たとえば、サービスにおいてはお客様(主人)と従業員(使用人)の関係があります。従業員は、「お客様のおっしゃることでしたらなんでも・・・」という形なので、お客様の意志を優先した一方的なものになります。

ホスピタリティとは客人(ゲスト)と主人(ホスト・ホステス)の関係であり、お客様と従業員は相互に共感しあい、喜びを共有することなのです。この違いは、お客様が働く人をどのように思うのか、働く人がお客様をどのように思うかによっても変わってきます。だからこそ難しいのです。

しかし、ホスピタリティに欠かせないものがサービスなのではないか。サービスは、お客様を不快な気持ちにさせないためのもの。ホスピタリティを実践する前に、まずはサービスそのものをしっかりと提供できるようにすることがホスピタリティの原点だと言えます。

 

この、サービスやホスピタリティという言葉には時代の背景があります。

ファミリーレストランもその一つです。日本にファミリーレストランが誕生したのが 1970年のこと。それまでは、日本食堂や料亭といった「和」の食事と接客が中心で行われていました。でもこの時代から、洋食もふえはじめたことによって日本人の食生活は大きく変わっていきました。洋食が増えたことによってメニューの新しさ、明るい店内、気持ちの良い接客などがお客様にとっては新鮮なものでした。皆が同じものを食べ同じ接客を受けるといったマニュアル化されたおもてなしでもとくに問題はありませんでした。

しかし、それから30 年以上たった今、日本の飲食店の数は約50 万。たくさんのお客様が来店されます。外食する機会も増えてきたお客様たちは、様々なお店に慣れていくことになります。使い慣れていくうちに多くのものを見て、おいしい料理、飲みもの、安さ・珍しさだけでは満足しなくなってしまったのです。料理の品質や人とは違った特別なサービスを求めるようになっていったということです。今までは「他の人と同じにしてほしい」といったものから「他の人と同じでは嫌だ」という気持ちになっていったのです。